店舗内装工事とは?工事業者の選び方や費用、工期についてわかりやすく解説
店舗の壁や床などの内装を仕上げる工事と、電気やガスなどの設備を設置する工事を総じて店舗内装工事といいます。店舗内装工事は内装業者選びから始まり、店舗開店までに3〜6ヶ月ほどの期間が必要です。開店する日をゴールとして、早めに計画を立て始めましょう。店舗内装工事を何から手をつけたらいいのかわからないという方にも、わかりやすく内装工事業者の選び方や内装工事の段取り、費用などについて解説します。
店舗内装工事とは?
店舗内装工事とはすでに出来上がっている建物の内部を、店舗として営業できる状態に仕上げる工事です。床や壁などをはじめとした内装の仕上げ工事、電気やガスなどの設備工事を含めて店舗内装工事になります。
店舗の内装を仕上げる仕上げ工事
店舗の内装部分を仕上げていく「仕上げ工事」で、どのような工事をするのか内容についてご紹介します。
ボード工事(天井仕上げ工事)
壁や天井などの下地に石膏ボードを貼り直して仕上げる工事です。内装の仕上がりに直結します。
壁紙工事
壁の下地にビニールクロスや紙クロスを貼り付ける工事です。壁に断熱材を設置する場合も壁紙工事になります。
床仕上げ工事
フローリングやカーペット、タイルなどの床仕上げ材を貼る工事です。床の高さや空気の通り道の確保などの下地工事も行います。
軽鉄工事
店舗の壁や天井の土台を作る工事です。店舗の中に仕切りの壁を設置する工事も行います。
防音工事
音楽教室や楽器店など、防音が必要な店舗に工事を行います。店舗周辺の規制基準を基に、防音対策目標値の設定を行い施す工事です。
塗装工事
主に建物の外壁に塗料や塗材を塗ったり吹き付けたりする工事です。外壁や屋根の塗装が中心になりますが、内装工事の一つになります。
左官工事
店舗の壁や床などコテを使って塗り仕上げる工事です。壁や床の下地づくり、仕上げづくりを担います。
木製建具工事
店舗のドアや窓、障子など工事で取り付けられた木枠に木製建具を取り付ける工事です。内装工事の仕上げ工事として行われます。
畳張り
店舗に設置してあった古い畳を新しい畳に差し替えを行うことや、新たに畳を設置する工事です。
家具工事
工場で作られた家具の材料を搬入し、組み立てて設置をする工事です。家具の作り付けも家具工事で行います。
電気・ガスなどの設備工事
店舗開店に必要な設備を設置するための設備工事についてご紹介します。
電気工事
照明器具やコンセント、スイッチ、電話の設置などを行う工事です。店舗の事業内容によりコンセントの増設を行なったり、デザインやレイアウトによって移設を行なったりなどが必要になります。電気容量が足りない場合は幹線引き換え工事も必要です。
給排水工事
店舗の給水・排水の設備を設置する工事です。給排水設備の無い店舗では1からの設置を行います。飲食店などで厨房を設置する場合、排水管の場所によってレイアウトが左右されてしまいますので、物件選びの段階からレイアウトを考えでおく必要があります。
空調・換気設備工事
エアコンなどの空調機器の設置や室外機の取り付け、換気口の取り付け、空気を入れ替えるための換気設備を設置する工事です。
ガス工事
ガスの配管設置や配管の延伸工事、給湯器の取り付けなどを行う工事です。ガス工事についてはガスの配管免許を所持している人しか取り付けができないため、ガス会社に依頼しましょう。
店舗内装工事はどの業者に依頼する?
店舗内装工事業者は大きく分けて3タイプ、内装業者、工務店、設計・デザイン会社に分けられます。業者により得意分野がありますので、メリット・デメリットを比較して選ぶとよいでしょう。
1,内装業者
店舗内装工事はデザイン・設計・施工の3つの要素に分類することができ、内装業社はこの3つを一貫して行います。デザインから施工までをスムーズに行えるので、工期を短縮できること、工事費用を抑えられることがメリットです。デザイン、設計、施工を複数の業者に依頼すると、それぞれに費用がかかってしまい総合的に高額になってしまうこともあります。
内装業社のデメリットとしては設計・デザイン会社に比べると、デザインに劣ることがあげられます。凝ったデザインを希望する場合は、設計・デザイン会社に依頼するのがおすすめです。
2,工務店
工務店は住宅の建設やリフォームなど施工をメインに行う業者ですが、店舗内装工事をデザインから設計、施工まで一貫して引き受けてくれる業者もあります。工務店の場合、内装業社と設計・デザイン会社に比べて工事費用を安く抑えられるのがメリットです。
ただし工務店は施工がメインのため、図面が出来上がっていないと引き受けてくれない場合もあります。またデザイナーが在籍していない工務店もあるため、デザイン設計を別の業者に依頼する必要があります。
3,設計・デザイン会社
設計・デザイン会社は基本的にデザインや設計のみを行います。デザイナーが在籍しているので、デザインにこだわりたい方は設計・デザイン会社がおすすめです。なかには施工まで一貫して受注している設計・デザイン会社もありますが、多くの場合はデザイン設計を引き受けるまでとなります。デザイン設計と施工が別になる場合、設計・デザイン会社に対して工事金額の10〜15%ほどの設計料が別途必要です。全体的に費用が高くなることがデメリットといえるでしょう。
店舗内装工事の費用相場
店舗を開業するための店舗内装工事の費用相場は、1000万円〜2000万円といわれています。店舗内装工事費用は1坪あたりの坪単価で決まり、新装工事をするか改装工事をするかで坪単価は異なります。
内装工事費
内装工事費は1坪あたりの坪単価で決まります。坪単価は設備などが何もない「スケルトン物件」と、前のテナントが利用していた設備が残っている「居抜き物件」でも異なります。スケルトン物件からの内装工事は1から行わなければならないため坪単価が高く、居抜き物件を利用した改装工事は元々の設備を利用することで坪単価を安くすることが可能です。
費用を抑えたいのであれば、居抜き物件を検討するのもよいでしょう。ただし居抜き物件でもトイレの位置を変えたり、設備の位置を変えたりするとかえって費用が高くなることもあります。また元々ある設備が問題なく使用できるかも、物件探しの段階で確認をしておきましょう。
【15坪ほどの飲食店の場合】
新装工事 | 30万円〜50万円/1坪 | 15坪の内装工事費用450万円〜750万円 |
改装工事 | 15万円〜30万円/1坪 | 15坪の内装工事費用225万円〜450万円 |
※厨房などの設備費は除く
【20坪ほどの美容室の場合】
新装工事 | 30万円〜40万円/1坪 | 15坪の内装工事費用600万円〜800万円 |
改装工事 | 15万円〜30万円/1坪 | 15坪の内装工事費用300万円〜600万円 |
※シャンプー代など設備費は除く
小さな店舗ほど坪単価は高くなる
意外かもしれませんが大きな店舗よりも、小さな店舗ほど坪単価は高くなります。理由としては店舗の広さに関わらず、基本的な工事内容はあまり変わらないからです。費用を抑えるために小さな店舗を選ぶと、逆に費用が高くなってしまいますので注意してください。
設備工事費
ガスや電気などを設置する設備工事費は、店舗内装工事費用の半分を占めるほど大きな費用がかかります。コストダウンを考えるなら、居抜き物件に元々設置されている設備を活用するのがおすすめです。また電気容量が足りない、ガス容量が足りないと後から設備容量追加の工事が必要になると、出費がかさんでしまうこともあります。あらかじめ物件に備わっている設備や、設備容量について把握しておきましょう。
失敗しない店舗内装工事業者を選ぶポイント
店舗内装工事業社を選ぶ際は、専門性の高さや保証制度の有無などをあらかじめホームページなどで調べておくことが大切です。重要視するポイントを絞って、何社か比較するのもよいでしょう。
開店する業種に強い業者に依頼する
内装工事業者には飲食店が得意、美容室が得意などそれぞれに専門性の高い分野があります。飲食店に強い内装工事業者なら飲食店の店舗内装工事の実績も豊富ですし、より良い提案をしてくれるかもしれません。事前に内装工事業者のホームページなどで施工事例などを確認しましょう。
一括発注できる内装工事業者
店舗内装工事は依頼内容によって床の工事や天井の工事、電気工事など複数の業者が携わることがあります。それぞれの業者と打ち合わせが必要になると、手間や時間がかかりスケジュール管理も大変です。全ての内装工事を一括発注できる内装工事業者なら、打ち合わせの手間や時間を省くことができます。また一貫して工事を行なってくれる内装工事業者なら、1社で全ての工事を行うので工程もスムーズに運び、施工期間の短縮にもつながります。
保証制度・アフターサービスの有無
店舗内装工事終了後、設備などに不具合が出た場合修繕が必要になることもあります。トラブルや不具合が発生したときに対応してくれない業者だと、営業に支障をきたしてしまう可能性もありますので、必ず保証制度の有無を確認しましょう。保証期間と保証の範囲、修繕が必要になった場合の連絡先は必ず把握してください。また工事保証書があれば保証内容を明確にすることができます。
店舗内装工事のスケジュールと工期の目安
店舗内装工事にかかる工期は、内装工事業者選びから開店までに3ヶ月〜6ヶ月ほどかかります。ただし店舗内装工事にかかる工期は、店舗の規模や工事内容、内装工事業者により異なるため一概ではありません。明確な工期については内装工事業者と打ち合わせをしたうえで見積もってもらいましょう。
業者選びから開店までの流れ
内装工事業者選びから開店までの流れをご紹介します。
1. 内装工事業者選び
内装工事を依頼する業者を選びます。内装工事を一貫して行うなら内装業社、予算を押さえるなら工務店、デザインにこだわるなら設計・デザイン会社のように、何を優先するかを明確にすると選びやすいです。
2. 打ち合わせ・見積もり・プランニング
内装工事業者と打ち合わせをして、提案されたデザインやプランを判断材料に依頼する業者を決めていきます。担当者の人柄や対応力も見て、信頼できる内装工事業者であるかを見極めましょう。
3. 契約
見積もりやデザイン案、工程表などに納得ができたら、いよいよ契約を結びます。この段階で前金として費用の半額、もしくは3分の1を支払うことが多いです。
4. 工事の着工
工程表を基に施工がはじまります。工事は遅れていないか、プランニング通りに進んでいるかなど、現場に足を運んで確認しに行きましょう。開店準備もあり忙しいかと思いますが、施工会社に丸投げにならないようにしてください。
5. 竣工・引き渡し
工事終了後、竣工検査に問題がなければ引き渡しとなります。竣工検査には必ず立ち会い、設備に不具合がないかなど細かくチェックしましょう。
6. 開店
店舗引き渡し後は開店に向けて必要な設備を設置したり、インテリアを考えたりなど開店準備を進めていきます。不具合などがあればすぐに内装工事業者に連絡をして、修繕を依頼してください。
まとめ
店舗内装工事は物件を店舗として利用できるように、内装や設備を作り上げていく工事です。店舗内装工事は大きくわけてデザイン・設計・施工の3つの要素があり、デザイン設計を行う業者、施工を行う業者、デザイン設計から施工まで一貫して引き受ける業者があります。デザインにこだわりたい、費用を抑えたいなど何を重視するかを決めて、業者を選びましょう。また店舗内装工事は業者選びから開店までにおおよそ3ヶ月〜6ヶ月の期間が必要になります。開店日から逆算して、余裕を持って店舗内装工事の計画を行なってください。